強力矯正器 は、下肢(膝以下の部分)の機能を補助するために使用される補助具です。強力矯正器は、膝関節や足首、足の形状や機能をサポートする役割を果たします。主な目的は、歩行や立ち上がりなどの動作をサポートし、安定性やバランスを向上させることです。
足首や足の形状をサポートする補助具で、足首の適切な位置や動きを制御します。足首の不安定性や歩行時の足の落ち込みを改善する役割があります。
使用目的
主に脳血管疾患の方で、足関節や足部に異常運動や筋力低下、変形、痛みがある人に使われます。リハビリでは早期から立ち上がり、立位、歩行訓練を行い下肢の筋力増強を行っていきます。
強力矯正器を着用することで、足関節や足部に変形や筋力低下があっても効率的な歩行の一助になります。
・脳卒中後遺症に対しては、機能障害および能力低下の回復を促進するために早期から、積極的にリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。
・発症後早期の患者では、より効果的な能力低下の回復を促すために、訓練量や頻度を増やすことが推奨される(グレードA)
引用:一般社団法人 日本神経治療学会HP 脳卒中ガイドライン2009
またこれら脳血管疾患の方以外にも
①神経筋障害
多発性硬化症、脳卒中、脊髄損傷、末梢神経障害などの疾患により、筋力低下や筋緊張異常が見られる方。
②筋力の低下
筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの筋肉の疾患により、足関節や下肢の筋力が低下している方。
③足関節の不安定性
足関節の捻挫や靭帯損傷後の不安定性、関節炎などにより足関節の安定性が損なわれている方。
④足底筋の機能障害
足底筋の弱さや麻痺により、足の背屈が困難な方。
⑤歩行パターンの改善
歩行時の足の位置を改善し、より効率的な歩行を促す必要がある方。
⑥姿勢の改善
下肢のアライメントを改善し、全体的な姿勢をサポートする必要がある方。
なども使用により状態の改善が期待されます。
使用方法
①装着
強力矯正器を装着する前に、足や膝が清潔で乾燥していることを確認してください。強力矯正器を8の字テープを使用して固定します。強力矯正器が確実に固定されていることを確認しましょうが、過度に締め付けないように注意してください。
②動作の練習
強力矯正器を装着して歩行や立ち上がり・立位動作を行う際には、まず安定したサポートを提供する強力矯正器に慣れるために、医療専門家の指導のもとで歩行や動作の練習を行います。強力矯正器が提供するサポートと制御を活かして、正しい歩行パターンや動作を習得することが重要です。
③メンテナンスとケア
強力矯正器は使用中に摩耗やダメージを受ける場合があります。定期的に状態を確認し、異常がないかをチェックしましょう。また、汚れや臭いを防ぐために、適切なクリーニングやケアを行うことも重要です。
メリット
①歩行の安定性とバランスの改善
強力矯正器は、膝関節や足首の安定性を提供し、歩行時のバランスを向上させる役割があります。装具が適切にフィットし、足や膝の正しい位置や動きをサポートすることで、歩行の安定性が向上します。
②痛みの軽減
強力矯正器は、関節や筋肉の負担を軽減し、痛みを緩和することがあります。関節の適切な位置や動きを制御し、痛みや炎症を軽減する役割があります。
③機能の向上
強力矯正器は、足や膝の機能を補助し、日常生活での動作や活動の範囲を改善することがあります。装具が提供するサポートや制御を活かして、歩行や立ち上がり、階段の昇降などの動作が改善されることがあります。
④怪我や手術の回復の支援
強力矯正器は、怪我や手術の後の回復期間をサポートする役割があります。怪我や手術部位の保護や安定性を提供し、早期の活動再開を支援することがあります。
デメリット
①不快感や違和感
強力矯正器が足に密着しているため、初めて使用する際には不快感や違和感を感じることがあります。特に長時間の使用や強い圧迫感がある場合には、強力矯正器が皮膚に圧力をかけたり、摩擦を引き起こしたりする可能性があります。長時間の使用や適切なケアが行われない場合には、皮膚の問題が発生することがあります。強力矯正器による圧迫や摩擦により、皮膚の潰瘍や赤み、かゆみなどが起こる可能性があります。
②運動制限
一部の動作の制限を伴う場合があります。強力矯正器が足の運動範囲を制限し、柔軟性や自然な動きを制約することがあります。これにより、一部の活動やスポーツに制限が生じる可能性があります。
③心理的な影響
強力矯正器の使用は、心理的な負担や制約をもたらすことがあります。存在や見た目により、自己意識や自己評価に影響を与えることがあります。また、周囲からの注目や差別的な態度によっても、心理的な負担が生じることがあります。