四点杖

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四点杖とは

四点杖は、良く見掛ける杖とは違い、四つの支点(車輪やゴム製の足先)を持つ杖です。支持基底面を増やすことで歩行時の安定性を向上させるために使用されます。特に、バランスが悪い人や足や脚の筋力が制限されている人に適しています。杖の四つの支点は地面にしっかりと接触し、歩行時の負荷を均等に分散させることができます。

目的

①歩行補助

四点杖は、歩行が不安定な人々に安定性を提供するために使用されます。腰や膝の怪我や手術の回復中、関節の痛み、バランスの問題などによって歩行が制限される場合に使用されます。

②姿勢のサポート

四点杖はT字杖に比べ、支持基底面が大きいことで姿勢のサポート力高くなります。T字杖でバランスをとることに不安がある方でも、四点杖であれば姿勢保持が行い易くなる方もいらっしゃいます。

③バランスの改善

四点杖は、バランスの改善を助けるために使用されます。T字杖よりも支持基底面が大きいため、歩行中のバランスを保ち易くなり、安心して手や腕の筋力を活用しやすくなります。

④疲労の軽減

四点杖を使うことで、歩行時の体重を分散させることができます。これにより、膝や股関節、腰への負担を軽減し、歩行時の疲労を軽減することができます。

⑤安全性の向上

転倒やスリップを防止するために使用されます。特に、滑りやすい地面や階段を移動する際に安定性を提供します。

⑥自立支援

高齢者や身体的な制約を持つ人々が自立した生活を送るのを支援するために使用されます。杖を使うことで、日常生活のさまざまな活動を安全かつ快適に行うことができます。

⑦リハビリテーション

四点杖は、怪我や手術の回復中のリハビリテーションにも使用されます。通常のT字杖では支え切れない足腰へ負荷を手で支えることで歩行をサポートし筋力やバランスの回復を促し、復帰をサポートする役割を果たします。

四点杖はその安定性の高さから、長時間の立ち仕事や移動中のサポートとしても使用されます。特に、足腰への負担が大きい家事仕事等での活躍も期待されます。

使用方法

正しい高さの調整

理学療法士が養成校で習う杖の合わせ方には3種類あり、

①足の小指の外側15㎝のところに杖を突いたとき、 肘関節が約30度の角度になる長さ

②床面から足のつけ根(大転子)までの長さ

③腕を垂直に降ろした時の手首(橈骨茎状突起)

高さが73〜83cmとなれば手首や肩に負担をかけずに杖を持つことができます。 四点杖を使用する前に、自分の身長に合わせて杖の高さを調整する必要があり、立っている状態で肩の高さに手でグリップ部分を持ち、肘が約30度から40度曲がるように調整しましょう。

一般的に

と記載されていることが多く杖の長さが65.5〜88cm で調整が可能です。したがって適応身長は約145〜180cm程度の方の使用が可能になります。※あくまで目安です。

杖を正確に配置:歩行時には、四点杖を片手で持ち、反対側の足と一緒に動かします。歩く際には、杖を体の中心線の少し外側に置くことが重要です。これにより、バランスを保ちながら歩行することが期待できます。

歩き方

基本としては、歩行時にT字杖を片手で持ち、反対側の足と一緒に動かします。歩く際には、杖を体の中心線の少し外側に置くことが重要です。これにより、バランスを保ちながら歩行することが期待できます。杖を使う際には歩行時の動作として下記のパターンがあります。

①二動作前型

杖を持って歩く際には、まず杖を前に出し、それから反対側の足を進めます。杖を持って歩くときには、スムーズで自然な歩行動作を心掛けましょう。

②二動作揃え型

杖を持って歩く際には、まず杖を前に出し、それから反対側の足を進めます。

杖と両足が揃える方法で、一歩の歩幅を意図的に狭くすることで安定性を得る歩行のパターンです。

③三動作前型

三動作と呼ばれる歩き方は、仮に杖を右手で持った場合、1.杖→2.左足→3.右足と3つの動作で歩行する手段です。前型は、杖と反対足を繋いだ線を超える位置へ足を出します。

常に杖とどちらかの足の2点が接地している状態を保ち安定性を重視した歩行のパターンです。

④三動作揃え型

1.杖→2.左足→3.右足と3つの動作で歩行する手段です。揃え型は、杖と反対足を繋いだ線を超えずに杖と両足が揃える方法です。

一歩の歩幅を意図的に狭くし、更に常に杖とどちらかの足の2点が接地している状態を保ち安定性を重視した歩行のパターンです。

⑤階段

階段を上る際には、T字杖を片手で持ち、もう一方の手で手すりを掴みます。階段を下る際には、T字杖を片手で持ち、もう一方の手で手すりを掴むか、もう一本のT字杖を使って安定性を保ちます。

基本としては『行きはよいよい帰りは恐い』と覚え、上りは踏ん張りやすい足からとし、下りは苦手な足から出すと昇降動作は行いやすいとされています。

長所と短所

四点杖は、歩行補助具として使用されるの一種であり、以下のようなメリットがあります。

長所

①安定性の向上

四点杖は、4つの支持点(脚)によって地面を支えるため、非常に高い安定性を提供します。これにより、バランスを保ちながら歩行する際の安心感が得られます。特にバランスが不安定な人や、足や膝に問題がある人にとって、四点杖は非常に有用です。また見落とされがちですが、杖が自立しているため、T字杖のようにどこかに立て掛ける必要がありません。腰掛けるちょっとした場面で立て掛ける煩わしさを省くことが出来ます。

②負荷の分散

四点杖を使用することで、体重を4つの支持点に均等に分散させることができます。これにより、足や膝への負荷を軽減し、歩行時の疲労感を軽減することができます。

③歩行時の自由度

四点杖は、片手ずつ杖を使うため、もう片方の手を自由に使うことができます。例えば、荷物を持ったり、手すりをつかんだりする際にも便利です。

④階段の使用

四点杖は、階段の上り下りにも対応することができます。階段を使用する際には、正しい手順やテクニックを学ぶことが重要ですが、四点杖を使用することで、より安定した歩行が可能となります。

短所

①使用の複雑さ

四点杖は、4つの支持点からなるため、使用方法が複雑になる場合があります。特に初めて使用する場合や、手や腕の機能に制約がある場合には、適切な使い方を学ぶために指導を受ける必要があります。

②障害物の制約

四点杖は、4つの支持点が地面に接触するため、狭いスペースや障害物の多い場所での使用に制約が生じることがあります。例えば、ドアの開閉や狭い通路の通過などが困難になる場合があります。

③重量と持ち運びの制約

四点杖は、4つの支持点からなるため、他の歩行補助具に比べて590gと重量がやや重く感じる場合があります。そのため、持ち運びや収納に制約が生じる場合があります。

まとめ

自分の力で歩くことはとても素晴らしいことです。今後も歩いて生活をしていくためには適切な道具を適切な設定で使用することが好ましいです。

『転ばぬ先の杖』のことわざのように、杖がなくとも歩けたとしても、体への負担軽減を図ることで、1年後、2年後も今の体の状態でいることが出来るということにもつながります。予防的な面でも杖の使用を検討してみてください。

T字杖では不安という方に向けて他の杖や歩行補助具も紹介していますので、ぜひご覧ください。

歩行補助具

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